11月上旬、午前10時前。東京・渋谷にあるその喫茶店の前では、5人ほどの外国人の男女が雨の中、店の中をのぞき込もうとしている。話す言葉を聞いていると、どうやらイタリア人らしい。 「茶亭羽當(はとう)」。渋谷駅から徒歩5分ほど、比較的静かな地域にあるこの喫茶店には、いまや世界中から人が押し寄せている。壁一面に並んだアンティーク調のコーヒーカップや、コーヒーを黙々といれるマスター、店の中央に大胆に生けられた季節の花――。確かにインスタグラム映えのする外国人の好きそうな「アイテム」がそろう。取材に訪れた日も、10時の開店と同時に前で待っていたイタリア人が入店。しばらくすると、中国人と思わしきカップルやグループが訪れ、30分もすると店は外国人観光客だらけになった。 東京愛が詰まったガイド本 日本に住んで15年になる旅行コンサルタント、英国人のチャールズ・スプレックリー氏が、東京のガイドブック『Pe