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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (15)

  • 底辺への競争をもたらしたもの - 経済を良くするって、どうすれば

    山田昌弘先生のは、いつも興味深くて、『パラサイト・シングルの時代』以来、長く読み続けているのだけれど、団塊ジュニア、俗にロスジェネ世代の悲惨な運命を見るようで、だんだんに辛くなってきたよ。新著の『底辺への競争』は、名目ゼロ成長の20年間に、満足に就職も結婚もできなかった世代が寄る辺なき老後を迎えるという物語だ。山田先生は社会学者で、エコノミストではないので、今回は、なぜこうなったかと、どうすべきかを補ってみたい。 ……… 端的に言えば、日は、1997年から摘芽型の緊縮財政を始めたからである。これは、成長より財政再建を優先し、景気が上向いたところで緊縮を始め、格的な成長に至らせない政策である。そのため、雇用が引き締まらず、賃金上昇は鈍く、消費も停滞して、デフレが続くことになる。残念ながら、それでは設備投資も出ず、成長もしないから、財政再建もできずに、緊縮は半永久的に続く。裏返せば、雇用

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  • アベノミクス・勝ち切れない失敗の連鎖 - 経済を良くするって、どうすれば

    ひと頃の日サッカーは、先制すると攻勢が消え失せ、退いて守って逆転ゴールをらう悪い癖があった。優位になったときにこそ厳しく向かい、勝ち切るまで絶対に手を緩めないというのは、勝負事の鉄則である。経済も同じで、足元の景気が好調だと、「財政出動は、もう十分だろう、あとは成長戦略に注力して」となりがちだが、これが失敗の質だ。財政による1兆円の需要減は造作ないが、これを埋められる大きさの成長促進策は存在しない。勝負が着くまで、幻想に酔って財政を疎かにする甘さは絶対に許されない。 ……… 9月の経済指標が一斉に公表され、7-9月期GDPは、内需停滞、外需牽引の形になることが明確になった。それぞれ前期の反動が出るに過ぎないが、景気の明るさに慢心している向きには、良い薬になるだろう。デフレに慣れ切っているから、少し良くなっただけで、すぐ嬉しくなってしまう。当の勝負どころは、ここからだ。内需の好循環を

    アベノミクス・勝ち切れない失敗の連鎖 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 人は考えを変えない、悲しいほどに - 経済を良くするって、どうすれば

    「デフレの原因は、企業行動が変化したせい」という主張を聞くと、「若いなあ」と思ってしまう。何やら、経営思想が変わったから、経済が動いたような印象を受けるからだ。やはり、もう一つ問いを重ね、「なぜ、企業は設備や人材へのカネを絞るようになったのか?」へ進み、「緊縮財政がもたらした需要増なき経済に適応した」という答えを導き出すべきではないか。やはり、根源は、景気回復の芽を、いち早い緊縮で摘む「摘芽型財政」にある。 ……… 筆者も、若い時分は「意識変革で、世の中を良くできる」なんて議論していたものだよ。でも、人生経験の中で、「現実に合わなくなり、ボロボロになってすら、一念にしがみつく姿」を目にすれば、「人は考えを変えられない」と悟るようになる。だから、「思想の変化で、世の中が転換する」という説を、まったく信じられないんだね。方針に変化が起こるのは、多くの場合、人事での交代によってだ。 企業行動の変

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  • 税収減がどうした、大事は賃金さ - 経済を良くするって、どうすれば

    2016年度の税収が前年度比-0.8兆円の55.5兆円と発表され、財政再建を危ぶむ声も聞かれるが、ほとんど意味がない。地方と社会保障の収支が改善しており、政府全体では着実に進展しているからである。日では、財政を心配する人は、奇妙にも国の財政しか気にしない。当に国の行く末を案じているか、疑わしく思えるほどだ。世を憂う政策通らしく振る舞うためのファッションなのだろう。そんなことより、下々の賃金や消費を心配してはどうかと思う。 ……… 2016年度の名目成長率が+1.1%なのに対し、税収が-1.5%だった最大の理由は、法人税が-4.6%と、0.5兆円減の10.3兆円になったためだ。2015年度の-0.2兆円に続く減収であり、法人企業統計の経常利益が増加しているのに逆行している。両年度とも金融保険業が減益だったので、この影響かもしれない。第一生命研の星野卓也さんによれば、特別損失、M&Aに伴う

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  • アベノミクス・日本よ、成長は帰ってきた - 経済を良くするって、どうすれば

    1-3月期GDPでは、ついに消費主体の経済成長が実現する。消費は、今期は高めの伸びが期待でき、ここ3期を均した速度は年率1.6%となろう。それは、消費増税で大打撃を与える前の2012~13年の伸びと同レベルであり、日経済の復調を意味する。失われた10期を超え、16兆円もの大損害を残しつつも、成長は帰ってきた。今後は、雇用数の増加に見合う年率2.0%成長へ更に加速できるかが焦点となる。 ……… 3月の商業動態の小売業は前月比+0.2であり、CPIの財が-0.3であったことを踏まえると、実質では、これを上回る伸びとなろう。したがって、3月の日銀・消費活動指数は、若干のプラスが見込まれ、1-3月期の前期比が+0.8まで高まる可能性がある。前期が低迷した反動も含まれるが、ここ3期を均しても+0.6という高さになる。消費の復調と加速をうかがわせるのに十分な数字だ。 また、3月の家計調査は、相変わら

    アベノミクス・日本よ、成長は帰ってきた - 経済を良くするって、どうすれば
  • 民主主義と財政への誤解 - 経済を良くするって、どうすれば

    政治がだらしないから、日の財政赤字は膨大になった」という話は、よく聞くところだ。一般の方からであれば、「まあ、そういうところもありますかね」と受け流すが、学生がそんなことを研究したいなどと言って来たら、「若さを無為にするようなことはやめなさい」と諫めることになる。こういう学生は、債務=債権という経済の基的な概念も身についていないのは明白で、とてもモノにならないと心配するからだ。 ……… 確かに、日の政府は、膨大な借金を抱える。他方、借金は、貸す者がいないと成立しない。日の場合、これは基的に企業部門である。すると、「政治がだらしないと、企業はカネを貸すようになる」のか。表裏一体の事柄なのに、片面の説明が不自然になるのは、そもそも、説明自体が誤りであることを示している。民主主義の下での大衆迎合が財政赤字を作るというのは、一知半解の見方でしかない。 むろん、ポピュリズムの政治家が外国

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  • 内需不振? だって緊縮してるもん - 経済を良くするって、どうすれば

    シムズ理論を巡り、「ちょうど良い放漫財政なんてできるのか」といった議論で賑わっているが、実際、日が足元で放漫をしているのか、緊縮をしているのかについては、まったく、お留守だ。3/18公表の日銀・資金循環によれば、バブル期以来の財政再建を達成した模様である。これだけ緊縮しているのだから、財政破綻を心配したり、なぜ内需が不振なのかと悩んだりすることもなかろう。タコツボから頭をもたげ、経済の全体を眺めれば、容易に分かることである。 ……… 財政再建を声高に叫ぶ人は、財政しか見ていない。知見の出元になっている財政当局は、担当することがすべてだからだ。しかし、政府全体では、社会保障基金、要は公的年金だが、これが黒字を出しているので、赤字幅は、かなり縮小する。10-12月期の資金循環で、一般政府の資金過不足を見ると、年換算額のGDP比は-2.0%である。この水準は、リーマン・ショック直前を超え、おそ

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  • アベノミクス・なるか2%成長 - 経済を良くするって、どうすれば

    10-12月期GDPの予想は年率1.1%が平均のようだが、期待も込めて2%としておこう。当は余裕で行けると思っていたんだけどね。12月の消費指標からすると、ようやく到達できるかどうかだ。それでも、7-9月期の1.3%成長に続き、景気は加速している。前期と同じく、輸出が牽引する形ではあるが、消費には潜在力があると考えられ、今後、内需主導へと変化していくと見ている。 ……… 12月の商業動態は、小売業が前月比-1.8となったものの、10,11月の貯金があり、10-12月期は前期比+1.9にもなった。財の物価上昇で割り引いても、+0.7にはなるだろう。これにより、10-12月期の日銀・消費活動指数は前期比+0.3くらいと見込む。これだけなら、消費は順調と言えるのだが、家計調査が極端に悪い。二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)は前期比-2.1と落ち、12月の95.2という水準に至っては、消費

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  • 7-9月期GDP・異常かつ当然の帰結 - 経済を良くするって、どうすれば

    11/14公表のQEで、日のGDPは535兆円に達し、駆け込み需要に沸いた2014年1-3月期に並んだ。むろん、過去最高水準だ。他方、家計消費(除く帰属家賃)は247兆円と、消費増税直後の落ち込み時の2014年4-6月期と変わらず、まったく生活は良くなっていない。この247兆円は、6年も前の2010年7-9月期と同じだ。成長したのに、恩恵がないという異常さは、金融緩和に緊縮財政を組み合わせたアベノミクスの当然の帰結である。 ……… 消費増税前の家計消費は255兆円程だったから、約8兆円減っており、ちょうど消費増税で取り上げられた分に相当する。消費増税の影響を軽視する人たちは、これをどう評価するのか。しかも、それまでの緩やかな増加トレンドが失われてしまった。増税ショックの落ち込みが、一時的でなく、2年半にも渡って続いていることは重大だ。なぜ、消費の「成長力」は消えたのか。 実は、消費の動向

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  • 消費が動くとき・昔と今 - 経済を良くするって、どうすれば

    10/17に消費総合指数がようやく更新され、8月は前月比-1.2の大幅減だった。ここまで落ちるとは思わなかったよ。結果として、7,8月平均は、前期比-0.1であり、9月がV字で戻しても、7-9月期の消費は前期比で若干のプラスにとどまる。「一気に景気回復の様相」には、なかなか行かないね。いずれにせよ、今週金曜には、9月の結果も出てくる。 ……… 消費はフラついたが、生産活動は順調に伸びている。10/19発表の8月全産業活動指数は、前月に続き上昇し、7,8月の平均は前期比+0.5となった。10-12月期の前期比-0.1から、1-3月期+0.1、4-6月期+0.3と歩んできたので、徐々に加速していることが分かる。なかでも、景気の牽引役である住宅、公共、輸出の動きは、もっと明確で、三つを合成した指数を下図で示すと、この3か月の回復ぶりは顕著だ。消費も7月は良かったので、8月の不調は残念であった。

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  • アベノミクス・経済復活への道 - 経済を良くするって、どうすれば

    経済が復活するとしたら、間違って正しい政策をしてしまう場合だ。日のエリートの信条は、スキあらば緊縮で、回復の芽を摘んでばかりだが、たまたま、それに失敗することがある。事態は大して深刻ではないのに、過敏に反応して、緊縮を緩めるパターンだ。今回、こうした流れになるかどうか、彼らの当事者能力の無さに、多少の情けなさは感じつつも、密かに期待している。 ……… 7月の経済指標については、久々に「消費に強さあり」と評せよう。筆者は、もっと良い数字が出ると思っていたくらいだ。まず、商業動態だが、小売業が前月比+1.4と伸び、昨冬からの低下局面から脱する水準となった。物価の低下を考慮すると、実質の伸びは更に高い。また、鉱工業指数の消費財出荷も前月比+3.5となり、水準は昨秋以来の高さである。これに伴い、生産が消費税ショック後の最高を更新する中で、在庫は-4.3と大きく下げた。 家計調査では、最重視す

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  • 4-6月期GDP・消費増税による屈曲からの脱出 - 経済を良くするって、どうすれば

    春季の経済学会のセッションで「エビデンスに基づく政策」が議論されたようだが、8%消費増税によって、消費が屈曲し、ゼロ成長状態に陥ったというエビデンスは、どう活かされるのだろうか。どれほど国民経済にとって重要であろうと、権威に都合が悪いことは、研究の課題には上がらないのかもしれない。学者の世界にしても、人事が最大の関心事なのだから、仕方のないことではある。 ……… 月曜公表の4-6月期GDPでは、民間消費は307.6兆円と、消費増税から2年経つのに、1.6兆円しか増えていない。リーマンショックや東日大震災の際は、底から1年内に、従前の水準を回復できたのに、未だに駆け込み前の水準から7兆円ものギャップがある。二つの災厄とは異なり、V字回復を示さず、L字となったのたから、単発のショックでなく、永続的に影響を及ぼすような「何か」を原因とすべきだろう。 4-6月期GDPは、実質成長率が年率0.2%

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  • 経済対策よりも必要とされること - 経済を良くするって、どうすれば

    28兆円の経済対策が決定されたが、確実なのは、補正予算が前年度より0.7兆円増えるということだけで、あとは、前年度との比較で、当に需要を増加させるものなのかは不透明である。このような需要管理が十分になされていないことが、日の経済運営の大きな欠陥であるように思われる。 ……… 景気の原動力は、企業活動が反映される設備投資にある。その設備投資は、追加的需要を見ながらなされており、具体的には、輸出、住宅、公共の三つである。バブルが癒えた1995年からリーマンショック前の2008年までは、2四半期前のこれらによって、ほぼ完全に説明できていた。とりわけ、輸出の影響は大きく、これがあって、財政当局は金融緩和による円安を非常に好むわけである。 3需要の最近の動きを、全産業活動指数と日銀実質輸出で見ると、アベノミクス開始の2013年に、公共が持ち上がり、住宅も伸びて、財政出動と金融緩和が上手くかみ合っ

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  • アベノミクス・無策の中の回復 - 経済を良くするって、どうすれば

    6月の経済指標は景気回復が一歩進んだことを示した。緊縮財政の下、昨秋から景気が後退し出しても放置され、年明けの円高株安に驚愕し、熊地震と英国EU離脱で慌てて対策に走り、とうとう日銀まで動員したが、今時分には、物価安の下支えもあり、景気は癒えているという顛末だ。なぜ、日経済は低調なのか、これだけ場当たり的なら、当然だろう。しかも、これを嘆くのは、コラムくらいというのも寂しい。 ……… 日経は、6月家計調査の結果について、前年同月比-2.2%を強調するけれども、コラムが重視する二人以上世帯における実質消費支出の季節調整済指数は、前月比+0.4であった。下図の橙線で分かるように、昨秋からの後退を埋め合わせるところまで来ている。鉱工業指数の消費財出荷も前月比プラスだったことからすれば、6月の消費総合指数は、悪くとも横バイが見込めよう。そうすると、4-6月期は+0.5程になるのではないか。

    アベノミクス・無策の中の回復 - 経済を良くするって、どうすれば
    rikuzen_gun
    rikuzen_gun 2016/08/01
    地方経済はどん底だぞ。なんだよこのアベマンセー、大本営発表は…。
  • 最強官庁における能力の欠落 - 経済を良くするって、どうすれば

    日経の清水正人編集委員の新著『財務省と政治』は、税と予算を巡る政策決定過程を濃密に描いた第一級の書と言って良いだろう。情報網を張り巡らし、徹底して根回しを行い、政治日程を組み上げ、ここぞの場面で献策する財務省と、細川内閣以降の揺れ動く政治とのせめぎ合いが、臨場感あふれる筆致で明らかにされていく。 ただ、政治過程に関するだから、当然ではあるが、そうして決められた政策が経済にどう影響したかまでは触れられていない。そのため、あたかも景気は自然現象のようなもので、移り行く天気に振り回されつつ、受身で対しているような、そんな印象を持ってしまう。むろん、財政が景気に影響せず、常に緊縮が正義であるのなら、それで構わないわけだが。 ……… 書が描く鳩山政権下での予算編成では、選挙公約で示した政策を、国債発行額44兆円の枠内で実施しようとして、調整に四苦八苦するが、そこへ小沢幹事長が時の氏神よろしく登場

    最強官庁における能力の欠落 - 経済を良くするって、どうすれば
    rikuzen_gun
    rikuzen_gun 2015/09/28
    かなり反民主党的記事だな。この失われた四半世紀の内たった3年程以外は常に自民政権(更に参院選で民主大敗後はレームダックで子供手当骨抜きなど事実上敗戦処理で民主主導はたった1年半程度)自民以外認めない?
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