なにかに感動したり、ときめいたりすることがめっきり減った。 以前はどんなものにも心の底から共感したり、自分自身に備わっていないものであれば解ろうと近づいたり、音叉のように心を震わせたり、そうやって好奇心の赴くまま、ひとの心や、それらから生まれたものたちに触れたりしていたのに。 今はもうなにかを見たり聞いたりしてもへえーすごいねという感じだ。もしかして、ちょっとは五感が肥えたせいかもしれない。 一通り自分の姿を着替えてどんなふうになるか知ったから、なってみたい自分が減った分、服を手放した。レースのドレスと、黒革があればいい。香水を片っ端から試香して、どれもいいな〜と悩むことも減った。薔薇とお香がわたしの香りになった。そしたら、花を選ぶときもいつも薔薇を一輪、部屋に迎えるようになった。未知の音楽を発掘するためにネットサーフィンすることも減った。大好きな紅茶ですら、感激する茶葉に出会えることなん