政府が来年の通常国会への提出を目指している「秘密保全法案」に、研究者など各団体から反対意見が相次いでいる。外交、防衛、治安の幅広い分野で、国家の安全を揺るがしかねない情報を「特別秘密」とし、公務員らによる漏えいに対し厳罰を科すことで未然に防止しようという狙いだ。一方で、国民の知る権利や取材の自由は大きな制約を受けることになる。何が問題点なのか。識者に意見を聞いた。【臺宏士、日下部聡】 ◇情報非公開、流れ助長--現代史家・日本大講師、秦郁彦氏 政府保有の公文書は国際的慣行に沿って一定の年月(例えば30年)が経過すれば極めて一部の例外を除き原則としてすべてを秘解除して公開する「自動的秘解除」方式を採用するよう私は訴え続けてきた。どんな文書でも担当官が全文に目を通してから秘解除する現行の方式では新たな秘密文書が増加していくスピードに追いつけないからだ。外務省だけは原則として30年経過した外交文書