iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った日本人研究者らによる「世界初の成果」に疑義が生じた。一部メディアが報じたものの、日本人研究者の所属先とされた米国の大学は事実関係を全面的に否定。この研究者が肩書を偽っていた疑いまで浮上した。 「事実関係を調査します」。読売新聞(いずれも東京本社最終版)は12日付夕刊の1面に、森口尚史氏(48)の研究をめぐる報道について、「内容に間違いがあれば、正さなければなりません」という同紙の見解を掲載し、取材過程を検証する方針を示した。 同紙が、森口氏の肩書を「米ハーバード大客員講師」と紹介し、「iPS細胞を使った世界初の臨床応用を行った」と1面トップで報じたのは11日付朝刊。iPS細胞から作った心筋細胞を患者に移植したという内容で、「夢の治療として世界がしのぎを削る臨床応用への動きが予想以上に早く進んでいる実態が浮き彫りになった」と位置づけている。同日付夕刊