文字。すごくおおざっぱな括りですが、わたしたちの生活になくてはならない“デザインの元素”について、あらためて考えてみたい──と思う今日この頃。そこで現在、多摩美術大学情報デザイン学科で教授を務めているグラフィックデザイナー、永原康史さんと宮崎光弘さんを八王子キャンパスに訪ね、かねてより「文字」について語り合うことが多いというお二人に話をうかがいました。 ——印刷媒体の現場にDTPが浸透するようになって15年ほど経過し、文字の選択肢は飛躍的に広がりました。いま現在、Web媒体も含め、文字に対する興味やこだわりを持つデザイナーが増えていますが、その背景から話を始めたいと思います。 永原●まず、コンピュータを使ってデザインする以前、実はデザイナーが文字そのものを直接扱うことは少なかったですよね。ぼくたちも含めグラフィックデザイナーは、自分たちを“文字のプロフェッショナル”と思っていたはずなんです