〈1〉山室信一著『アジアびとの風姿』(人文書院、3400円) 〈2〉建林正彦著『政党政治の制度分析』(千倉書房、4600円) 〈3〉秋本治著『BLACK TIGER ブラックティガー』1(集英社、600円) 〈1〉は、日本と東アジアの関係について思索してきた碩学(せきがく)による渾身(こんしん)の書。熊本人の東アジアへの熱い思い、著者と司馬遼太郎の交遊が興味深い。〈2〉は、日本の政治制度改革論議が衆議院に偏ってきたとし、参議院、地方議会を視野に収めた分析を提示。今後の選挙制度改革を考える上で、重要な視点だ。〈3〉は、著者の「こち亀」連載終了後初の新作。南北戦争直後を舞台にした痛快な西部劇から、銃社会アメリカの原風景も見えてくる。 読書委員 この一年 「明治150年」「第一次世界大戦終結100年」を控え、歴史の区切りや歴史認識の相違について考えた一年でした。 納富信留(ギリシャ哲学研究者・東