1試合にあるか、ないかの出番を待つ“代打稼業”。勝敗の行方を決める試合終盤の好機に使われる選手は、文字通りの「切り札」だ。セ・リーグ開幕から28日で1カ月。いま、巨人を除くセ・リーグ5球団は、かつて主力打者だったチームの生え抜きがこの役割を担う。阪神・桧山、中日・立浪、ヤクルト・真中…。「引退」の2文字と隣り合わせのベテランの背中は、若い選手に勝負の厳しさを語りかける。(田中充) 甲子園で「代打・桧山」がコールされると、超満員のスタンドから大きな声援が沸く。“暗黒時代”からタテジマ一筋17年目の38歳。野球協約に定められた減額制限(25%)を超える2500万円減の年俸4000万円で迎えた今季は、後がないが、練習では大粒の汗を流してバットを振り込んでいる。 背中で見せられる選手になる−。いま、桧山はそう誓っている。「どんな一流打者でも10回に7回は失敗する。大事なのは、失敗を次にどうつなげる