名門パレスチナ一族ラジューブ家に生まれたアベド・ラジューブ氏は23年間、イスラエル対内諜報機関シンベトのスパイだった=イスラエル南部アシュケロンで パレスチナ社会を分断 イスラエルが1967年の第3次中東戦争以降、占領を続けるヨルダン川西岸地区。その南部ヘブロン出身の名門一族ラジューブ家に生まれたアベド・ラジューブ氏(58)は、81年から23年間、イスラエルの対内諜報(ちょうほう)機関シンベトのスパイだった。一族は現在も、パレスチナ自治政府の主流派政党ファタハ幹部らを輩出している。 スパイへの勧誘を受け入れたのは、ファタハの域外諜報員だった80年。パレスチナ国家建設の実現性を悲観しての決断だったという。「我々はイスラエルとの戦いに勝てるのか。イスラエルはすでに国家として根を下ろしている。イスラエルで少数派として生きる方が現実的ではないのか」