人工知能(AI)が自動生成するコンテンツの話をしよう。ここ数年,「AI創作と知的財産権」に関する講演の依頼などが確かに多い。といってもAIに小説,記事,曲,絵や各種デザインを作らせるといった事例は今や膨大で,紹介するだけで数千字の原稿なんてすぐ埋まる。そこで,さまざまな実例については「AI自動創作の現在を俯瞰(ふかん)する」というネットコラム注1)を書いた。公開されているのでよろしければご笑覧いただきたい。そこにも載せたざっくりした現状の俯瞰は表1である。どんどん増えていることは間違いないし,これですらほんの一部だ。 こうした話題の一つの方向性は「AIは人間の創造の深淵(しんえん)にどこまで迫れるか」で,つまりハイエンドな方の話である。少し性格は違うが,将棋でも囲碁でもやっぱり「頂上対決」が一番ニュースになりやすいことに通ずるだろう。確かに興味深い話題だ。ただ,自分の最近の関心は,むしろロ