観察し、描き、そしておいしく食べる。魚のスペシャリストとして国民的人気を誇る“さかなクン”。静かで目立たず、勉強も運動も苦手な子どもだったというが、エリートコースとは異なる側道を、自力で開いて歩んできた。「気がついたら、ここにいました。夢のようです」。なぜ夢を実現できたのか。自叙伝も映画化されるなど、なぜこれほど愛されるのか。モノ言わぬ魚からすべてを学んだ、さかなクンの人生哲学。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル特集編集部) さかなクンは、まさに『好きこそものの上手なれ』『芸は身を助く』ということばの体現者だ。 小学生の時の卒業文集には、「東京水産大学(現・東京海洋大学)の博士になって、自分の絵でお魚の図鑑をいっぱい作り、みんなに見てもらいたい」と書いた。 「博士」になるには、大学院の博士課程に進んで博士号を取り、師事する教授の下で助手・助教となり、講