心に芽生えたもやもや 結婚しささやかな新居で生活するようになってまだほんの数日のある日、私は台所でサラダを作っていた。一方、夫は居間で新聞を広げて、くつろいでいた。絵に描いたように平和な、日曜日の午後だった。私の脳裏にもやもやとした疑問、割りきれなさが起こったのはそんな時であった。 「質実剛健」「良妻賢母」「やまと撫子」という言葉にあこがれ、結婚したら、仕事に行く夫を三つ指ついて送り出し、外で7人の敵と戦う夫のために、立派に家を守るのが当たり前と教えられて来た。若気の至りとは言え、愛する人といっしょにいられるならば、大学卒業後、始めたばかりの名門私立校の英語教師としての仕事を捨てるのも全く苦にならなかった。 疑問は単純であった。「大学時代は同じクラスで机を並べて勉強していた私達が、どうして今、私は忙しく食事の支度をしていて、夫はソファーにのんびりと座って、新聞を読んでいるのだろう?」 そし