ある生命保険会社で「お客様センター」のマネジャー職を務めるA課長は部下のB君の仕事ぶりに頭を痛めていました。 お客様センターは顧客のあらゆる問い合わせに対処するという触れ込みの組織です。ただし、実態を見ると問い合わせのほとんどはクレームで、早い話がクレーム対応の専門部署と言えます。 仕事柄、日本全国から毎日、様々なクレームの電話がかかってきます。それどころか、時には会社まで直接押し掛けてくる顧客もいます。こうした大変な事案にはA課長自ら対応しています。そのかわり、電話で解決できるクレームへの対応はできるだけ部下に任せたいと考えています。ところがB君がうまく対応できません。 10月初旬、B君が受けた電話は営業職員のセールス手法に関するものでした。電話をかけてきた男性は自分の留守中に保険勧誘を受けた奥さんが契約を結んだことを知って激怒していました。 「わざと俺の留守を狙ってきたのだろう。そんな