私が雑文集「ろまねすくのコーヒータイム」に折に触れて書き留めてきた「雑感」に、もう二十年間は続いてきた『日本語論争』に関連して、「変だぞNHKの放送用語」という一文を草したことがあった。 そのきっかけは、低年齢化した売春についての放送で、「売買春」のことを伝えるのに、売春を「バイシュン」といい「買春」を「カイシュン」と言ったことであった。「売買春」は昔から「バイバイシュン」であり、売春も買春も音に出せば「バイシュン」だと思っていた。買春を「カイシュン」とNHKのアナウンサーが発音したのを聞いて、私は飛び上がってびっくりした。それまで、NHKの放送用語は美しい日本語の基準だと信じていたのに、ひどく裏切られた気分だった。 続いて、菅原道真公が大宰府に配流されたときに読まれた有名な歌。 「東風吹かば 思い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」…を、NHKのアナは、 「東風吹かば 思い起こせ