IFRS(国際会計基準)を導入すると、「のれんの償却費負担がなくなり、その分、企業のM&A(合併・買収)がしやすくなる」とよく言われる。 のれんとは、買収先企業の買収額がその企業の純資産(資産-負債のこと)を超える部分のこと。事業を続けてきたことで得る価値、つまり単なる純資産を超えた無形の価値(超過収益力)をしめす。 のれんを償却するかしないかは、日本の会計基準とIFRSの異なる点だ。だが、実はそののれんのとらえ方自体がこれまでの日本基準とは異なる。具体的に言えば、下の図のように、IFRSでは従来、のれんとされていた部分の一部を無形資産ととらえるのである。 無形資産は基本的には償却を行い、のれんはIFRSでは償却しないからそこに大きな差がある。一般にIFRSが適用になると、のれんの償却負担がなくなるからM&Aがしやすくなると単純に考えられがちだが、実はそうではないのである。 これまでならの
