2022年1月、ベンチャーキャピタル(VC)のANRI(東京・渋谷)は気候変動、環境問題に特化した新ファンド「ANRI GREEN 1号」の新設を発表した。ファンド総額は100億円を目指すとしており、産業革新投資機構(東京・港)や関西電力グループのK4 Ventures(大阪市)などから既に43億円の出資を集めている。 運用期間が最長15年という異色のファンド設立に奔走したのは、ANRIでジェネラル・パートナーを務める鮫島昌弘氏。鹿児島県私立ラ・サール高校卒業後、東京大学理学部天文学科を経て東京大学大学院理学系研究科天文学専攻に進み、一度は研究者の道を歩もうとした異色のベンチャーキャピタリストだ。 VCは投資家から資金を預かって運用し、高いリターンを戻すことが宿命だ。にもかかわらず、あえてリスクが高く、蓋然性が決して高くない領域に挑むファンドを立ち上げたのはなぜか。鮫島氏の描くベンチャーキ