歴史入門 (中公文庫) [文庫] 著者:フェルナン・ブローデル 出版:中央公論新社 ★★★★☆ 本書の原題は『資本主義の活力』。著者の『物質文明・経済・資本主義』の内容を要約した講演だ。原著は、いわゆるアナール派を代表する古典として知られているが、訳本で全5巻4万円の大著を買うのは大変なので、その内容を手軽に知るにはいいだろう(文庫による再刊)。 資本主義というのは、多義的に使われる厄介な用語だ。これをマルクスの言葉だと思っている人もいるが、彼は一度もKapitalismusという言葉を使ったことはない。これを最初に使ったのは、20世紀初頭のゾンバルトやウェーバーである。一般には市場経済と同じ意味に使われるが、著者は両者をまったく違うシステムととらえ、現代社会をこの異質なシステムの複合と考える。 市場経済というのは明確な概念である。それは経済学の教科書に書かれている等価交換システムで、最終
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