韓国がエネルギー政策の転換に向けて動き出した。「脱原発」の方針を掲げて当選した文在寅大統領の意向を先取りして、原発運営会社、韓国水力原子力が建設予定の2基の原発の設計を中断。文氏は、深刻な大気汚染を軽減するために老朽化した石炭火力発電所の閉鎖に踏み切る方針だが、電力の安定供給への懸念はくすぶっている。雇用拡大と所得分配の見直しを重視する文政権の「Jノミクス」には、アンチ・ビジネスの印象が深まっている。 石炭火力発電所を停止 先月15日、文氏は石炭火力発電所8基を6月から1カ月間、停止すると発表した。対象は稼働から30年以上たった老朽石炭火力発電所だ。 5月は、中国やモンゴルから飛来した黄砂の影響で、大気中の粒子状物質の濃度が跳ね上がるシーズンで、8基の停止で「PM10」の発生が1〜2%程度、低下させられるという。停止を発表したのはソウルの小学校で、大気汚染による子供への健康被害対策としての