1972年5月15日の沖縄返還に先立つ、1971年8月15日。アメリカ合衆国大統領ニクソンは、ドルと金の交換停止を発表する。ニクソン・ショックである。 敗戦から急速に立ち直り未来へと時計の針を進めていく本土をよそに、なおも四半世紀にわたるアメリカの支配に耐え、ようやく返還の日を迎えようとしていた沖縄の人々の生活は、危機に瀕する。沖縄返還にともないドルから円への通貨交換を控えていたからである。 ニクソン声明を受けて日本政府はドルと円の交換率を変動相場制に移行すると決定した。事実上の円切り上げ=ドルの価値が下落する、最悪の事態なのである。 1ドルの価値が360円から305円へと55円目減りするならば、地上戦の地獄を生き抜き、アメリカ支配に耐えながら、沖縄住民が営々として築いてきた個人資産は一夜にして16%も失われる事になる。また沖縄は生活物資の80%を日本本土からの輸入に頼っており、円切り上げ
読書というのは孤独な営みであり、孤独な愉しみである。そんな読書観は実は新しいものだ。欧州では読書は黙読ではなく音読が主流であり、近世には読書グループが次々と形成されて、それがブルジョワ階級の勃興と対をなしていた。日本ではどうか?江戸時代、漢詩人江村北海(1713-88)は欧州と同じく音読と黙読どちらがいいか、という問いに続けて、「書ヲヨムニ、我独リ読ムガヨキカ、人ト共ニヨミテ、世ニイフ会読スルガヨキヤト問人アリ」と書いているという。 江戸時代、読書の主流となっていたのは「会読」と呼ばれる『定期的に集まって、複数の参加者があらかじめ決めておいた一冊のテキストを、討論しながら読み合う共同読書の方法』(P12)であった。その会読はどのように始まり、どのように廃れていったのか、また会読が与えた影響の大きさについて、近世思想史を概観しつつ、江戸の儒学・蘭学・国学から幕末の思想家たち、明治の自由民権運
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く