高品質で安心。ドイツ製のクルマは、時代を超えて高い評価を受けてきた。ところが2015年9月、VWは不正行為を認め、世界に衝撃を与えることに。それから2年。ドイツ在住の記者が見た自動車業界が歩む“いばらの道”とは。 ドイツを支える自動車産業は今、第2次世界大戦後、最も深刻な危機を迎えている──。 同国が約120年前に発明し、その自動車産業が重要なビジネスモデルとしてきたディーゼル・エンジン技術に対し、大きな疑問符が投げかけられている。国内では「ディーゼルだけではなく、内燃機関を使うクルマの時代は終わった」という論調すら出始めているのだ。 だがドイツの自動車業界では、これまであまりにも長く内燃機関に力を注いできたために、消費者の需要を満たす電気自動車(EV)の開発が遅れている。各メーカーは今後、短期間に多額の投資をしてビジネスモデルを根本的に転換しなくてはならない。“自動車帝国”のドイツにとっ