(2)1000店の「いい匂い」操る魔術…から続く JR大阪駅には、「日本屈指の要塞ステーション」との呼び名が、インターネット上でつけられている。6カ所の改札口を備え、通路が縦横に走る。だが、地下にある“迷宮”の存在はあまり知られていない。 1日に82万人がせわしなく行き交う駅のコンコース。月見英一助役(58)が「この下には地下水が流れている」と床面を指差した。地下空間の入り口は、意外なところにある。トイレを抜けると、そこは… 駅の設備担当、川北伸一さん(49)の案内で駅員用トイレへ。小便器を横目に奥に進むと社員用通路に抜け、やがて鋼鉄製の扉が現れた。普段は固く閉ざされている重い扉だ。 暗闇へと急傾斜の階段が延びる。まばらに設置された蛍光灯の明かりを頼りに下ると、カメラのレンズが湿気で一気に曇った。 無機質なコンクリートに覆われた地下通路で、毛羽だった白い固まりが目に入った。長い年月をかけて