早く起きて、ベッドから出る。 少しだけ寝不足。 ジャージのままキッチンに向かう。トーストを焼いて、サラダを盛り付ける。牛乳をコップに注(そそ)いで、ヨーグルトを添えたら、朝食の出来上がり。 食べたあとで着替える。まだ7時過ぎ。だけど、アルバイトに行かなければならない。 × × × 『高校時代に男の子とつきあったことは無いの?』 そんなふうに愛に訊かれて、 『3年間で、2回』 と本当のことを答えた。 愛に答えてしまったことが尾を引いていて、高1のときと高3のときの苦い経験をふとした弾みで思い出してしまうときがあって、つらかった。 愛を責めるつもりは無い。あの娘(こ)に悪気は無かったんだから。 アルバイトが終わって乗り込んだ電車の中で、 『今でも、『踏み込む』のが怖い。この先、異性に対して『踏み込む』ことはあるんだろうか?』 と思った。 × × × 第二文学部の講義開始まではまだ時間があるから