ダウン症候群は 21 番目の染色体が 3 本になり、トリソミーと呼ばれる染色体異常を起こすことで発症する先天性疾患群である。マウスでも 16 番目の染色体が 3 本になることがあり、どちらの場合もグリア細胞が生成するニューロンの発達に必要なタンパク質の生成量が少ないという異常がみられる。トリソミーを持つ人間やマウスのニューロンを培養し、このタンパク質を構成する NAP と SAL とういペプチドを加えると、そのままでは変質してしまうニューロンを保護する働きをすることが分かっている。 この研究を踏まえ、米国立衛生研究所の研究チームがダウン症の出生前治療に関する実験を行い、論文を発表した(論文要旨)。トリソミーを持つ個体を身ごもったマウスの妊娠中期に同ペプチド 2 種を注入したところ、生まれたマウスは触覚刺激への反応や、掴む能力などにおいて通常のマウスと同等の発達がみられた。また、トリソミー個