その昔、1988年ころだったと思うが、当時ニューエスト・モデルのギタリストだった中川くんに打ち上げの席で『広重さんは自分の好きなバンドのような音を出したいとは思わないんですか?』と聞かれて、『思わない』と答えた記憶がある。ロックというジャンルの音が好きで、もっと言えば元々のロック的な反骨的な思想が好きだったのかもしれないが、基本的にはハードなロックミュージックが好きではあったが、自分でハードロックを演奏したことは1度もなかったと思う。いわゆるコピーバンドというものをほとんど経験しなかったせいもあるが、当時の自分の素養として、ハードロックを演奏する技術とか、ルックスとか、センスがあるとは思えなかったのではないかと思う。クラウス・シュルツよろしく、暗いムードでシンセを呻らせる姿は想像できても、人前でギターを弾くとは思ってもみなかったのかもしれない。 でも、なんとはなしに、夢想する時はあった。例