展覧会「最澄と天台宗のすべて」のサイトより 『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』(岩波新書)という本が発売前から話題を呼んでいた。天台宗を開いた最澄は、真言宗の開祖・空海とともに平安仏教を代表する存在として教科書にも登場するが、法相宗の徳一は一般的な知名度はあまりない。 なかなかマニアックなトピックにも思えるこの2人の論争について、なぜ今、注目が集まっているのか。思想的に相容れない最澄と徳一が5年の歳月をかけて大量の応答を行ったこの論争には、今日の民主主義、多宗教時代に顧みるべき現代的な意義があるというが、果たしてそれはどんなことなのか。本書を著した仏教研究者の師茂樹氏(花園大学文学部教授)に訊いた。 師茂樹著『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』(岩波新書) 徳一が主流派で、最澄は新興勢力だった ──一般的には最澄のほうが有名で徳一は知られていないけれども、当時は徳一の所属する法相宗のほうがメ