「先生、お夜食置いておきますね。 お好きかどうかは分かりませんが栗ご飯炊きましたの」 「ありがとう、栗ご飯のおにぎりですか」 「朝早く発つというお客さまをお見送りして、 それに、今日はお泊まりのお客さまが少なかったので 台帳を整理した後に昼間に栗を剥きました、大変でしたけど」 「それは大変でしたね。 なかなか美味しそうではありませんか。 秋の味覚は食べ損なってしまいましたから 栗ももう終わりですし、これはありがたい」 「先生、秋を食べ損なったとかよく仰いますね。 あんなにたくさん秋刀魚は頂いたじゃないですか、 それに、食べた後の骨煎餅にしてくれと頭まで食べられて 猫もそこまで食べるかどうか」 「ははは、骨はともかく 秋刀魚はハラワタもすべて食べないと食べた気にならないよ」 「骨まで食べるとか、私はよく分かりませんけど、 とにかく、物書きもいいですが夜は冷えますから お身体お察し下さいね」