一般公開されたばかりの映画『沈黙を破る』を観てきた。長らくパレスチナ/イスラエル問題を伝えてきたジャーナリスト、土井敏邦氏の監督作品である。17年に及ぶ取材記録をもとに構想された全4部から成るドキュメンタリー、『届かぬ声─占領と生きる人びと─』の第4部にあたる。 期待に違わぬ作品だった。 僕は今までパレスチナに関する様々な映画を観てきて、その良し悪しに関する一つの基準として、「パレスチナ問題をよく知らない人にもわかる/勧められる」という視点を持ち続けてきたのだけど、この映画こそ、その基準に一番合致するものだと思った。そんな風に言う人はあまりいないかも知れない。でも僕は、「これこそ!」と感じてしまった。 この映画は広河隆一氏の『NAKBA─パレスチナ1948』のように、パレスチナ問題の根源に遡ったりはしていない。出来事は比較的最近、ジェニンの虐殺・バラータ難民キャンプへの侵攻など、2000年