新年の伝統行事として親しまれている「初詣」。古来から日本人は初詣をしてきた……ようなイメージを持っている人が多いだろうし、日本人として育ったなら初詣にいくのは当たり前でしょ? ぐらいに思っている人は多そうだ。 そういう行事が実は近代以降の「創られた伝統」、つまりはコンビニなどによる恵方巻ブームや、製菓メーカーによるヴァレンタインチョコレート、とそんなにレヴェルが変わっていない、というのはショッキングな話であるし「そんなハズはない! ウチでは先祖代々、新年には初詣をしてきたんだ!」と怒り出す人さえいるかもしれない。しかし、歴史家たちの調査によれば、初詣という言葉が一般的になるのは明治時代以降の話、それまでそういう風習は日本に見られなかった。 この「初詣 = 創られた伝統」説の指摘は、本書の著者が初めて行ったわけではなく、20年前に別な歴史家が指摘している。しかし、これまでの研究者が「初詣を明