特別エッセイ|北村紗衣さん 女の子が飛ぶ道はバレエシューズでも、飛行機でもいい〜『バレエシューズ』刊行によせて 1930年台のイギリス・ロンドンを舞台に、縁あって姉妹となった3人の少女たちが、自分だけの道を歩み始める成長の物語『バレエシューズ』。刊行に寄せたエッセイを北村紗衣さんにお寄せいただきました。ロンドンの大学で博士号を取得し、シェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史がご専門の北村さんならではの『バレエシューズ』の書評をぜひご覧ください。 この本を手に取った時、私は『バレエシューズ』というタイトルにも、ノエル・ストレトフィールドという作者にも覚えがありませんでした。手にとって読み進み、23ページにさしかかって、主役のフォシル三姉妹が後見人のシルヴィアを「ガーニィ」(「保護者」を指す英語「ガーディアン」を短くした形)と呼ぶようになる場面で、突然思い出しました。「わたし、この本読んだ