社会的なものとしてのビブリオグラフィ - 冥王星日記
Stephen P. Weldon, “Bibliography is Social: Organizing Knowledge in the Isis Bibliography from Sarton to the Early Twenty-First Century,” Isis 104 (2013): 540–550. 研究会用に（いつもにもまして）詳しくまとめました。科学・技術・医学史のジャーナルである Isis は、定期的に関連分野の新しい研究を集めたビブリオグラフィを作成しています。その製作の歴史を研究することによって、ビブリオグラフィが有する社会性の様々な側面を描き出そうという論考です。 ーーーーーー 科学が社会の中に埋め込まれたものであることは今日では共通見解となっていますが、科学史という我々自身の学問領域がどのように社会的な文脈のなかに埋め込まれているのかという問題はあま
教科書が知識を形作る：ヴィセド「プレイング・ザ・ゲーム」 - 冥王星日記
Marga Vicedo, “Playing the Game: Psychology Textbooks Speak Out about Love,” Isis 103(2012): 111–125. Isis特集記事読書会に向けて，20世紀の心理学教科書を分析したVicedoの論考を読みました． ーーーーーー 科学史において広く受け入れられている見方によれば，教科書は，先端的な研究論文で生成された知識の単なる受動的な伝達媒体である．クーンは教科書を，「一連の定説を説明し，その応用を示し，さらにその適用例と観測・実験とを比較する」（『科学革命の構造』中山訳，12ページ）ものだと規定している．クーン的な教科書観はラトゥール＆ウールガーの『実験室の生活』やメアーズ，ハッキングらの論考でも受け継がれている． しかしこの教科書観はすべての科学に適用可能なのだろうか．クーンは社会科学は例外だと言っ
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