International Women's Day: political rights around the world mapped How have women's political rights changed around the globe to get to this International Women's Day? This interactive map by Lustlab's Lizzie Malcolm in Amsterdam shows the long history of the fight for suffrage and political representation around the globe. Click and drag on the year slider to see the changing face of women's pol
作者不詳の『パトラン先生』は、その長さ(平均的ファルスの3倍の1599行)、しっかりした人物造形、筋立ての複雑さといった様々な点で他のあらゆるファルスを凌駕している。弁護士のパトランは、巧みな口舌を用いて羅紗屋から羅紗をだまし取る。羅紗屋が羅紗の代金を取りにパトランの家にやって来ると、女房のギユメットと共謀して、パトランは死ぬ間際の病人のふりをする。いくつもの方言と言語で錯乱したうわごとを叫ぶ断末魔のパトランを見て、羅紗屋は結局代金をあきらめて、店に戻る。憤懣やるかたない羅紗屋は、預けていた羊を殺して食べていた羊飼いチボーを訴える。パトランはこの羊飼いの弁護を引き受ける。パトランは羊飼いに裁判で判事に何を聞かれても、羊のようにひたすら「メー」と答えろと指示する。判事は羊飼いが言葉を理解できない知的障害者だと思い込み、羅紗屋の訴えを退ける。裁判が終わったあと、パトランは羊飼いに弁護報酬を請求
ここからは後期中世の演劇ジャンルのうち、《長大な劇形式》、すなわち聖史劇〈ミステール mystère〉と道徳劇〈モラリテ moralité〉について述べる。この二つの劇ジャンルは、長大化の傾向、教訓的意図、見世物的で豪華な上演形式という共通点を持っている。 道徳劇は、〈人間〉〈力〉〈悪意〉〈偽善〉〈愛〉〈嫉妬〉など,人間の善と悪に関わる道徳的・倫理的抽象観念を擬人化した寓意(アレゴリー)を登場人物とする演劇ジャンルであり、この種の演劇はフランスだけでなく、イギリスやドイツでもこの時代、流行した。英語の作品としては、15世紀末に作られた『エヴリマン』Everymanがよく知られている。寓意的人物が登場する文学作品の伝統は古代末期、4世紀のキリスト教ラテン詩人、プルデンティウスPrudentiusの『霊魂をめぐる戦い』Psychomachiaまで遡ることができる。フランス語では、13世紀にギヨ
1500行を超える長さの『パトラン先生』、『8人の登場人物によるソティ』は例外として、ファルスとソティは、8音節詩行でおおむね300行から600行ぐらいの長さである。これに対し聖史劇(ミステール)と寓意道徳劇(モラリテ)には1万行を超える長さの作品がある。聖史劇で最長の作品は、シモン・グレバン Simon Grébanの『使徒行伝の聖史劇 Mystère des Actes des apôtres』で6万2千行、寓意道徳劇ではシモン・ブルゴワン Simon Bourgoinの『正しい人と俗世の人 L’homme juste et l’homme mondain』が3万行の長さである。作品の長大さはこの二つのジャンルの特徴だが、初期の段階からこのように長大であったわけでなく、時代が下るにつれ徐々に長くなっていったのである。 この点で受難聖史劇 Mystère de la Passion(聖史
聖史劇、そして道徳劇という巨大な演劇作品の上演は、都市にとって例外的な規模の大祝祭であり、稀にしか行われなかった。記録から欠落しているものはあるだろうが、1400年から1535年にあいだにドフィネ地方(フランス南東部)全体で上演された聖史劇と道徳劇の総数は三十ほどであり、平均すると十年に二作品が上演されたことになる。一人の人間が生涯の間に、大規模な演劇公演に立ち会うことのできる機会はそれほど多くはなかった。大押韻派の詩人、ジャン・ブシェ Jean Bouchet(1476-1550頃)は、ポワティエで1486年、1508年、そして1534年に受難劇の公演に立ち会った。三回目の公演のとき、彼は六十才だった。「私は生涯に三回の聖史劇の公演を観ることができた。自分の年齢を考えると、これは満足すべきことだ」とこの詩人は書き記している。 聖史劇はどのような機会に上演されたのだろうか? これは都市によ
聖史劇および道徳劇で提示される世界は、至高の君主である神と悪魔の長であるサタンが対立軸となる善悪二元論の世界である。サタンによって地上に送り出された悪魔や擬人化された様々な悪徳は、邪悪な助言をささやいて人間たちを罪に陥れようと誘惑する。 悪魔の登場場面、拷問、居酒屋での喧噪の様子の描写は、聖史劇のなかでかなり大きな比重を占め、長大な作品の息抜きとなる悪趣味な幕間寸劇とは言えない。グレバンの受難劇では、拷問の場面は7000行に達し、これは十七世紀の古典主義悲劇の約三本分の長さに相当する。拷問吏だけでなく、悪魔たち、地獄の亡者たちも舞台上で拷問を行った。こうした悪役は一流どころの役者たちによって演じられていた。暴力的な虐待、酩酊的狂騒ぶり、そして卑俗な冗談に興じるこれらの役柄には、バフチン的意味における民衆性、肉体性が具現されている。作品のなかでは「暴君」tyranと呼ばれることもある彼らは、
聖史劇(あるいは大規模な道徳劇)の上演は、都市の成員全体に関わる集団的な活動ではあったが、あらゆる社会階層の人間が同じ演劇的、宗教的熱狂のなかで共感し合うような民衆演劇のイメージは、中世演劇に付与された神話的幻想に過ぎない。聖史劇にも当時の都市の社会的身分のヒエラルキーが反映されていた。 現存する役者と制作者のリストの調査からは以下のような事実が明らかになっている。聖史劇の制作・上演の核となり、王や皇帝といった高貴で見栄えのする主要な役柄を担当したのは、財力と権力を持つブルジョワの一族といった都市の有力者だった。舞台で使う衣装は役者が自前で用意しなくてはならず、その費用を負担できるだけの経済力が必要とされたのだ。舞台衣裳は、資産家にとって自分の裕福さを誇示する機会であり、互いに贅沢さを競い合った。上演の前日には「お披露目」が行われ、舞台衣装を身につけた役者たちが街中を行進した。このお練りは
読書会のレジュメとして、ブレア『あまりに多くて知ることが出来ない』の「第1章 情報を取り扱うことの比較史」という章をまとめました。なお、読書会の詳細は下記から。 http://d.hatena.ne.jp/hskomaba/20120628 Ann M. Blair, "Information Management in Comparative Perspectives," Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age, New Haven & London: Yale University Press, 2010, pp. 11-61. Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann
Ann M. Blair, Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age (New Haven: Yale University Press, 2010), 62–116. Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann M. Blair出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2011/09/13メディア: ペーパーバック クリック: 46回この商品を含むブログを見る第二章 情報管理の方法としてのノートとり 初期近代における参考書の増加は、当時流通していたノートの取り方に関係する。このころからノートは一時的なものというよりも、将来参照され共有されうる長期的
Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann M. Blair出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2011/09/13メディア: ペーパーバック クリック: 46回この商品を含むブログを見る Ann M. Blair, Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age (New Haven: Yale University Press, 2010), 160–72. Blairの本の第3章後半を読みました。「本についての本」とEncyclopediaというジャンルが扱われています。17世紀のはじめ頃から印刷された図書館の図書目録というジャンルが現れます。
Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann M. Blair出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2011/09/13メディア: ペーパーバック クリック: 46回この商品を含むブログを見る Ann M. Blair, Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age (New Haven: Yale University Press, 2010), 117–60. ブレアの著作の第3章前半を読みました。リファレンス書にはどのような種類のものがあり、それらでは情報の発見を容易にするためにどのような工夫が行われているかを調べた箇所です。 印刷されたリファレ
Ann M. Blair, Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age (New Haven: Yale University Press, 2010). Too Much to Know: Managing Scholarly Information before the Modern Age 作者: Ann M. Blair出版社/メーカー: Yale University Press発売日: 2011/09/13メディア: ペーパーバック クリック: 46回この商品を含むブログを見る 【第5章】印刷された初期リファレンス書の影響 ■広範な分布(地理的、年代的、社会的) リファレンス書は一般的に、西欧の出版の中心地で作られますが、『ポリアンテア』のように最も成功したものは、宗教・政治・言語
もう3月に入ってしまったということが信じられないが(ついこのあいだ年が明けたばかりだというのに!),このタイミングで去年出た東欧および隣接する諸地域の歴史についての日本語書籍の中でわたしがチェックし得たものを紹介してみようと思う。 以下のエントリで取り上げた本については取り上げないのであしからず。 「帝国」の想像力――『オスマン帝国と立憲政』『ロシア・シオニズムの想像力』の射程 - Danas je lep dan. ヨーグルトが育むナショナリズム――マリア・ヨトヴァ『ヨーグルトとブルガリア』について - Danas je lep dan. 『ハプスブルク君主国1765-1918』『「イタリア」誕生の物語』読書メモ - Danas je lep dan. 『西洋史学の先駆者たち』『英連邦』読書メモ - Danas je lep dan. スターリン期の大量死の評価をめぐって――ノーマン・ネ
仏ラバル(Laval)で開かれたバーチャルリアリティのイベントで、立方体に触れる来場者(本文とは関係ありません、2009年4月22日撮影)。(c)AFP/THOMAS BREGARDIS 【4月11日 AFP】323年前にアイルランドの政治家ウィリアム・モリニュー(William Molyneux)が哲学者のジョン・ロック(John Locke)に宛てた書簡で投げかけた人間の知覚をめぐる未解決の難問、「モリニュー問題」をついに解決したと、米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)の科学者らが10日、発表した。 モリニューの投げかけた問いは、「先天的に目が見えず、球体と立方体を触覚によって区別していた人が、突然目が見えるようになった場合、手を触れずに球体と立方体を見分けることができるか」というもの。 ■「経験論」対「生得論
近代経済と近代科学、オランダ視点 Cook, "Moving About and Finding Things Out" Harold J. Cook, "Moving About and Finding Things Out: Economies and Sciences in the Period of the Scientific Revolution," Osiris 27 (2012): 101–132. 一般に広く受け入れられている見解として、「科学の勃興が近代の経済的発展を起こした」という考え方がある。たとえば著名な経済学者のサックスの議論によれば、欧米社会の近代化やイギリス帝国の台頭は、産業革命に伴う経済構造の変化に起因しており、そして産業革命はそれに先んずる科学革命によって引き起こされたものである。また、科学革命によって、世界を研究して物を造り出し改良する文化的背景が生ま
Clio Meets Science (Osiris, Second Series) 作者: Robert E. Kohler,Kathryn M. Olesko出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/10/20メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る Harold Cook, "Moving About and Finding Things Out: Economies and Sciences in the Period of the Scientific Revolution," Osiris 27 (2012): 101–132. http://www.jstor.org/stable/10.1086/667824 本論についてはすでに大変すぐれたまとめがあります。 ウミガメの頃: 近代経済
エアロスミスの「Dream On」がマサチューセッツ州のオフィシャル公式ソングに!? - amass 「オフィシャル公式ソング」って重言では、というのはともかく、アメリカ合衆国の州公式ソングについては以前調べたことがあるのだけど、何のことはない List of U.S. state songs として Wikipedia にまとまっている。 やはり州の名前が曲名に入ったポピュラーソングが多く選ばれているのだけど、ロックも前例がないわけではない。 例えばニュージャージー州の Unofficial youth anthem としてブルース・スプリングスティーンの "Born to Run(明日なき暴走)" とか、オクラホマ州の Official rock song としてフレーミング・リップスの "Do You Realize??" というのはびっくりする。 "Do You Realize??
Clio Meets Science (Osiris, Second Series) 作者: Robert E. Kohler,Kathryn M. Olesko出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/10/20メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る Lorraine Daston, "The Sciences of the Archive," Osiris 27 (2012): 156–87. http://www.jstor.org/stable/10.1086/667826 人文学は過去にこだわり続けるのにたいして、自然科学は過去を顧みず現在において真理を探求するという対比がしばしばなされます。しかし科学にも歴史があります。これは科学史ということではなく、科学研究の営みの中核に歴史的な次元が
Clio Meets Science (Osiris, Second Series) 作者: Robert E. Kohler,Kathryn M. Olesko出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/10/20メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る Paul Forman, "On the Historical Forms of Knowledge Production and Curation: Modernity Entailed Disciplinarity, Postmodernity Entails Antidisciplinarity," Osiris 27 (2012): 56–97. http://www.jstor.org/stable/10.1086/667823 今日みられ
Osiris誌第27巻の特集"Clio meets science: The challenge of history"からの一本。
Clio Meets Science (Osiris, Second Series) 作者: Robert E. Kohler,Kathryn M. Olesko出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/10/20メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る Jan Golinski, "Is It Time to Forget Science?: Reflections on Singular Science and Its History," Osiris 27 (2012): 19–36. http://www.jstor.org/stable/10.1086/667821 科学史(history of science)はサイエンスと単数で呼ぶことのできる単一の分析対象があることを前提としています。
明日に迫ったOsirisの読書会に向けて、担当箇所のレジュメを作成しました。なお、読書会はドタ参も歓迎ですので、お時間ある方はどうぞ。詳細はコチラ(オンライン参加もできます)。 Lorraine Daston, "The Sciences of the Archive," Osiris, 27(1), 2012, pp. 156-187. Clio Meets Science (Osiris, Second Series) 作者: Robert E. Kohler,Kathryn M. Olesko出版社/メーカー: Univ of Chicago Pr発売日: 2012/10/20メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見るhttp://www.jstor.org/stable/10.1086/667826 19世紀半ば以降、人文主義者
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