はじめに 経済産業省時代、私はベンチャー育成担当の課長補佐をやっていた。当時「ベンチャー」という言葉が役所には存在しておらず、その定義から始めた。2000〜2002年頃の話である。実際に日本中を周り、70以上のベンチャー経営者とディスカッションを行った。最終的には新規予算として5億円の予算を獲得し、それをばらまいたのだが、結果として何も生み出せなかった。つまりは無駄遣いに終わったのである。今できることは、なぜ失敗したのか、無駄遣いに終わったのかを考え、同じ過ちを犯さないように働きかけることだと思っている。 この半年ぐらい、アベノミクスの三本目の矢との兼ね合いからか、役所、政治家、大学関係者の周辺から「ベンチャー支援」とか、「起業家支援」という言葉が出てくる。そのたびに「またか」と感じる。 当事者たちは本気でベンチャーや起業家の支援ができるつもりなのかも知れないのだが、かなりの確度でそれは無