佳子が出くわした値切り交渉の場面は中国で日常茶飯事に見受けられる。現在は値切りで下げられない分を共同購入という形でより安価で商品を手に入れる消費者も現れ始めた※1。より安くを求めて値切りまくる中国人の商習慣を紐解くと、購買心理の底に根付く性悪説が見えてくる。 性悪説とは、中国の思想家である荀子が唱えた人間の本性に対する主張、「人の性は悪なり、その善なるものは偽(ぎ)なり」(『荀子』性悪篇より)から来ており、中国人の購買行動に大きく影響している。自分が購入しようとしている商品の真偽を疑い、商品から感じる価値と価格が見合うまで値切り、合致すれば購入する。交渉は市場やデパートなどだけでなく、実はECでも行われてり、ネット上で「交渉」の場をいかに作れるかが成功するキーになってくる。 チャットとアリペイでECでも売買する相手の顔が見えず、商品の品質や真偽がわからないECが中国で成立し、2011年には