◇「みる・きく・はなす」はいま 小雨が降る日曜の昼過ぎ。東京都立川市のJR立川駅前で、保守団体「しきしま会」の街頭活動が始まった。中高年の男女約20人が順番にマイクを握る。一番手に、千葉市の土岐(とき)和晃さん(50)が立った。 「渋谷区がはっちゃけて何か知んねーけど始めちゃった。例の条例ですけど」 東京都渋谷区が条例で発行を決めた「パートナーシップ証明書」。社会の多様性を実現するため、同性カップルを夫婦と同じように認め、区内の不動産会社や病院に示せば、今は偏見などもあって難しい住宅への入居や集中治療室での面会も可能になるとされる。 「なんでわざわざ同性愛者の権利を守れなんて叫ぶ必要があるんですか。何にも差別されてませんよ」 派遣先の建設現場で働く。離婚して、父(81)、弟(49)と実家で暮らす。 今の仕事がいつまで続くか、年金は十分か。若さや資格があれば、と思う。 同性カップルには不便が