いま、世界では、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の流行によって、膨大な数の人たちが病の床に伏し、家族から隔離され、そして、多くの生命(いのち)が奪われています。また、多くの国で、医療システムが崩壊し、経済は疲弊し、社会に混乱が生じています。各国の政府が「ウイルスとの戦い」を標榜し、緊急事態を宣言し、人びとの自由を制限しています。 国家は、殺人や傷害、窃盗や詐欺のような個人の生命や利益を侵害する犯罪だけではなく、放火などのように公共の利益を危殆化する犯罪や内乱のように国家の存立を危うくする犯罪、さらには、大量虐殺のような人道に対する罪も刑罰によって防遏しようとしています。ウイルスとの戦いにも、刑法は介入することができるのでしょうか。今回の「新型コロナ現象」は、個人と国家の関係やわたしたちの社会の在り方自体に、大きな問いを投げかけています。 わたしたちの国は、日本民族の優越性と国