電気自動車(EV)など次世代モビリティ開発が進む中、主力製品の自動車用ランプを高性能化する一方、新規事業の発掘や早期事業化に力を注ぐ。持続的な成長や環境との共生に向け、2022年11月に30年度までの経営目標「KOITO VISION(コイト・ビジョン)」も策定した。 加藤充明社長 ―足元の事業環境は。 「自動車用ランプの22年の年間生産数は7900万台。前年比450万台増とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大前の状況までは回復していない。半導体や部品不足は完全解消したと言えず、23年も厳しい経営環境が続くだろう」 ―ビジョン策定の狙いは。 「国内自動車産業はEVシフトや脱炭素化などで大きな変革期を迎えている。そうした中、企業が一層成長するには従来の中期経営計画よりも長期的視点で将来像を示す必要があると考え、ビジョンを策定した。具体的な数値目標として、事業面では照明機器の販売先を海外完成車メ
ヤマハ発動機は、二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル(CN)の達成に向け、電動モーターや水素エンジンの開発を加速させている。主力の二輪以外でも、四輪や船舶、航空機への供給を見据え、研究開発設備の増強を進める。ガソリンエンジンで培った鋳造などの生産技術を生かし、脱炭素分野の市場開拓を図っていく。 本社工場敷地内に2022年5月に開設した研究開発棟では23年末までに、モーターの性能試験機や水素供給装置などの設備を整える。社内で性能評価などを行うことで、開発スピードを上げる。 同社は培った鋳造技術でコンパクトながらも高出力の電動モーターを開発。車両の設計自由度も高まるため、四輪ではまず、競合が少ない高級スポーツカーなどへの供給を模索する。スバルテクニカインターナショナル(東京)が開発中の近未来モータースポーツEVに電動モーターユニットを提供した。将来的には一般的な車種へ
静岡県の先端農業技術研究拠点「AOI-PARC(アオイパーク)」=沼津市=の設立から5年が経過した。農業関連企業の技術革新と商業ベースでの実用化を進め、高品質な青果物生産や農作業の省力化を後押ししてきた。拠点を活用する企業は業種の垣根を越えて連携し、商機を模索する。東南アジアでの事業展開を見据えた動きも生まれている。 シンガポールの農業現場について学ぶ本県関係者(右)。技術面での連携を進める=11月、シンガポール アオイパークは2017年8月、同市西野の旧東海大沼津校舎跡地に開設された。慶応大や理化学研究所が参画し、温度や湿度、光量などの環境を制御して生育状況を比べる実験装置を整備。温室や栽培実証用の農地も整え、機能性を備えた種苗の選抜や気象変動に対応した栽培法の研究などを重ねてきた。 研究成果を踏まえ、大学や企業など約300の事業者がつくる「AOIフォーラム」の会員が知見を持ち寄り、コン
社説(12月16日)JAXA実験不正 緊張欠く組織検証せよ 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の古川聡飛行士が研究全体の責任者を務めた実験で、同僚の研究者による不正行為が発覚した。火星などの遠い惑星を探査する飛行士が受けるストレスを探る実験データが捏造[ねつぞう]、改ざんされた。 JAXAは古川氏を含む関係者を処分する方針だが、2023年ごろに予定している古川氏の国際宇宙ステーション(ISS)滞在計画の変更はないとしている。ただ、不正が発覚するきっかけになったミスが判明した際、古川氏が報告を受けたのに、実験のスケジュールを優先し、不正問題を担当するJAXA倫理審査委員会への報告を遅らせようとしたとの関係者の証言も出ている。古川氏の直接の関与はないとされるが、公的な研究との認識や自浄能力の不足を露呈したと言える。 JAXAを巡っては最近、小型固体燃料ロケットイプシロン6号機の衛星打ち上げ失敗、
静岡県議会12月定例会は12日、自民改革会議の竹内良訓(浜松市中区)、増田享大(掛川市)、天野一(静岡市葵区)、ふじのくに県民クラブの林芳久仁(同市清水区)の4氏が一般質問を行った。高畑英治くらし・環境部長は、県が本年度実施した浜名湖浅瀬の外来植物調査の途中経過について「外来種が4割を超え、在来植物の生育が脅かされている状況が確認された」と答えた。竹内氏への答弁。 静岡県議会 同所では民間団体が外来種の駆除や在来種の保全活動に取り組む。調査は本年度初めて実施し、浜松市西区弁天島の赤鳥居周辺の浅瀬「いかり瀬」を対象にした。高畑部長は「状況を地域や企業、団体に広く伝えて生態系の危機への認識を共有していく」とした。 県自然保護課によると、調査は5~9月に実施し、在来種を含めて100種以上を確認した。このうち、環境省が積極的な防除が必要と定めている「緊急対策外来種」のナルトサワギク、アレチウリが確
川勝平太知事は12日、公共交通の運転手不足や高齢者の移動手段確保などの地域課題解決に向けて進めている自動運転実証実験について、2023年度から乗務員が運転席にいない状態で公道走行実験を実施する方針を明らかにした。静岡県議会12月定例会一般質問で、自民改革会議の増田享大氏(掛川市)に答えた。 静岡県議会 自動運転は技術レベルによって5段階に分かれる。県建設政策課未来まちづくり室によると、22年度の実証実験は乗務員が運転席に座り、状況に応じて手動運転に切り替えるレベル2相当。運転手不在の実験が実現すればレベル3以上となる見通しで、実用化へ前進する。 川勝知事は信号機の色が変わるタイミングを把握して進むかどうかを判断したり、遠隔コントロールセンターから複数の車両を同時監視したりするシステムを導入していくと説明。25年度の自動運転実用化を目指す国の方針に先駆けて取り組む方針を示し、「交通事業者や自
MaaS参入可能性探る 中小企業や自治体関係者、掛川で交流会 静岡県と県産業振興財団は9日、次世代交通サービス「MaaS(マース)」に関するビジネスマッチング交流会を掛川市掛川の大日本報徳社で開いた。県内外の中小企業の担当者や自治体関係者ら約60人が参加し、参入の可能性を探った。 次世代交通サービスに理解を深めたビジネスマッチング交流会=9日午後、掛川市の大日本報徳社 東京大大学院ソーシャルICT研究センターの伊藤昌毅准教授(掛川市出身)が「MaaSの発展とソフトウエア化するモビリティ」と題して講演した。高度なライドシェア(相乗り)サービスなどITの進化を土台に各国で試行されている取り組みを紹介した上で「公共交通を中心としたまちづくりが進んでいる。視点を広げると、次世代のまちの姿を議論できる」と強調した。 自動運転技術や県の取り組みをパネルで紹介するコーナーも設けた。参加者は、同市で11日
3次元点群データ 民間活用を促進 静岡県議会、川勝知事答弁 静岡県議会12月定例会は8日、自民改革会議の野崎正蔵氏(磐田市)と加藤元章氏(沼津市)、ふじのくに県民クラブの良知駿一氏(浜松市北区)、無所属・共産党の鈴木節子氏(静岡市葵区)の4人が一般質問を行った。 3次元点群データで表した掛川城(静岡県建設政策課提供) 函南メガソーラー 許可取り消し否定 桜井正陽農林水産担当部長は、函南町でのメガソーラー建設計画に反対する市民団体が7日に林地開発許可の取り消しを求める請願を提出したことに関し、「現時点では許可の取り消しに至らない」との認識を改めて示した。野崎氏への答弁。 同事業の林地開発許可を巡っては、県議会産業委員会などで、河川管理者の函南町と事業者の調整や、県の判断に対する疑義、事業者の申請書の誤りなどが指摘されている。 桜井部長は町長への意見照会や町への詳細確認をした上で判断したとの経
静岡県は5日、掛川市で始めた自動運転バスの実証実験で、人工知能(AI)を活用した顔認証システムを試験導入した。バス停に取り付けたカメラで事前予約した利用者の本人確認を行い、乗降時の利便性向上につなげる。将来的にキャッシュレス決済と連携させることも視野に入れ、顔認証の精度を検証する。11日まで。 バス停に取り付けたカメラで顔認証を体験する掛川工業高の生徒=5日午後、JR掛川駅北口 バスが運行するJR掛川駅北口と掛川城三の丸広場にAIカメラを搭載した「見守るバス停」を設置した。実験には掛川工業高の生徒約10人がモニターとして協力する。 生徒はあらかじめ正面や横、斜め上などから撮影した十数枚の写真を登録。バス停のカメラに顔を近づけると、写真のデータと照合され、スムーズに認証された。体験した2年の加藤翔大さん(16)は「思っていたより時間がかからなかった。公共交通機関で導入されれば利用したい」と話
静岡市葵区の賤機中小の児童が22日、産業用ロボットメーカーのアイエイアイ(同市清水区)が開発した組み立て式の小型サッカーロボット「ミニロボ」を使い、プログラミングに取り組んだ。3、4年生17人が楽しみながらプログラミングの基礎や活用方法を学んだ。 ミニロボを動かす児童=静岡市葵区の賤機中小 児童はノートパソコンに「前に進む」「止まる」「回転する」といった指示を打ち込み、サッカー場に見立てたシート上でミニロボにドリブルやシュートをさせた。試行錯誤して動かし方を変え、思い通りのゴールが決まると「ナイスシュート」と笑顔を見せた。 アイエイアイの望月建汰さん(28)が講師を務めた。授業の終わりに望月さんが「プログラミングで作りたいものはありますか」と聞くと、3年の白鳥陽菜さんは「毎日料理してくれるお母さんのために、自動でご飯を作ってくれるロボを作りたい」と発表した。
スズキは28日、次世代モビリティの研究開発機能強化を目指す相良工場(牧之原市)の拡張計画に関連し、西側隣接地の用地造成に関する基本協定を静岡県、同市の3者で結んだ。スズキは約140億円を投じて県が造成する工業用地約47ヘクタールを取得し、電気自動車(EV)や自動運転など次世代技術開発を加速する。鈴木俊宏社長は「大変革期の中、CASEや脱炭素対応など、全方位で将来に向けた開発を進める」と強調した。 式に出席した(左から)杉本基久雄牧之原市長、鈴木俊宏スズキ社長、小野田裕之県企業局長=28日午前、牧之原市役所相良庁舎 相良工場はスイフトなど小型四輪車の生産だけでなく、四輪テストコースが配置され、本社とともに研究開発機能を担う。スズキによると、新たな取得予定地では、走行性能評価など次世代モビリティの試験設備などを整備する方針。本社および、主力市場のインドに設立したR&Dセンターとも連携を図る。
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