ブックマーク / honz.jp (9)

  • 『行ってもイイ精神科、ダメな精神科』ETV特集「トラウマからの解放」も併せておススメ! - HONZ

    うつのプロともいえる、現在60代の女性が都内23軒の精神科を尋ねたルポだ。著者は大学の演劇科を卒業した20代から今日までアングラ女優。新宿ゴールデン街でバーを経営している。40代に大学の心理学科を卒業し、精神保健福祉士の資格も取得して、精神科クリニックに長く勤務していた経験もある。2回の離婚で幼児期と思春期に辛い思いをさせた娘さんへの悔恨もあり、若いころには重度のうつ病に罹ったこともある。そして60代になり、うつが再発したことから都内23区の精神科を巡る旅を始めたのだ。 おそらく世界初の精神科ルポルタージュだ。それも医師を偽ることなく物の初診患者が精神科を回るのだ。当然人はうつなのだから取材は苦痛を伴うものだった。その苦労の結果、著者が会った医師たちは見事に千差万別の反応を示したのだ。 典型的なうつ病だと診断した医師 14人 非定形うつ病を診断した医師 5人 躁うつ病 1人 かくれ躁う

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  • 『一発屋芸人列伝』大きく勝って、大きく負けた山田ルイ53世が、負けの中に見出した勝機 - HONZ

    その日、電車に揺られながら、ぼくは迷っていた。これから会う相手にどんなスタンスで話を訊けばいいのか悩んでいたのだ。待ち合わせ場所は新宿小田急百貨店。この中にある書店で、山田ルイ53世の『一発屋芸人列伝』の発売を記念したトークショーが予定されていた。 『新潮45』連載時に「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した書は、発売前から重版がかかるほど評判が高く、すでにいくつかの著者インタビューも世に出ていた。その中には現代ビジネスに掲載された石戸諭さんによる素晴らしいインタビュー記事などもあって、いまさら屋上屋を架しても……という思いがあった。 さらに個人的な事情もあった。実は山田ルイ53世は、ぼくが勤めるラジオ局で番組を持っている。ただしそれは地上波ではない。ポッドキャストでの配信番組である。 正確に言えば、かつては地上波でワイド番組を持っていたものの、打ち切りの憂き目にあい、いまはポッド

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  • 九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』 - HONZ

    この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつくるなど、その技術を次々と世の中にために活かし始めている。書は、そんな少年のこれまでの歩みについて書かれた一冊であり、同時にそうした「少年の両親が、いかにしてのびのびと成長し、核融合炉をつくれる環境を構築してき

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  • 遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』 - HONZ

    遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』 双子研究を筆頭に、遺伝子が我々の身体的特徴だけではなくIQや統合失調症などの病気といった数々の要因に深く関連していることがわかってきている。が、そうであるならば遺伝子についての知見を深めることによって政策レベルで活かす──介入したほうがいい人間には介入し、そうでない人間には介入しない──というような形の、オーダーメイド政策はありえるのか。 たとえば、受け継がれた遺伝子的な差異こそが社会的不平等の第一の駆動力なのだろうか。現在の機会均等は主に”勉強ができること”によってもたらされているが、そもそもその能力に生来から違いがあるのだとしたらそれはどれ程の不平等につながっているのか。もしそれが明らかになれば、より適切な平等へ向けて歩み出すことができるかもしれない。これは見方によって

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  • 『脳には妙なクセがある』をきっかけにサイエンス本の世界にどっぷり浸かる - HONZ

    『記憶力を強くする』、『進化しすぎた脳』などのヒット作で知られる脳研究者の著者による、脳科学の最新知見がこれでもかと盛り込まれたエッセイ集である。349Pの書の巻末に参考文献として挙げられている論文の数は207にも上り、著者自ら“情報の洪水”と言っているのも頷ける。一見バラバラなトピックの寄せ集めだが、その中核にはきっちり、“脳と身体の因果関係への考察”というテーマが据えられており、楽しい寄り道をしながら大きな結論へと導いてくれる。 全26章で取り上げられる研究は、「XXXすれば脳の○○○が活性化して、△△△能力が向上する」という脳科学にこびりつく歪んだイメージの範囲を飛び越えて、行動経済学、進化生物学、栄養学などの領域にまで広がっている。とにかく、あっと驚く人間の特性を暴きだす研究結果が満載なのだ。書を読んで、やっぱりサイエンスは最高のエンターテインメントだと再確認した。サイエンス

    『脳には妙なクセがある』をきっかけにサイエンス本の世界にどっぷり浸かる - HONZ
  • 『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた - HONZ

    事件ノンフィクションと呼ばれるジャンルの醍醐味が、存分に味わえる一冊だ。この事件の何に対して自分が釈然としない思いを抱いていたのか、その正体が嫌というほど見えてくる。その実像は、事件当時に見知っていた情報とは大きく異なる印象があった。 PC遠隔操作事件とは、2012年6月から9月にかけて14件もの殺害・爆破予告がなされた事件である。JAL便の爆破予告から、小学校の襲撃予告、はたまた有名子役や人気タレントグループ襲撃予告までとターゲットは幅広く、世間を震撼させた。 逮捕されたのは、IT関連会社社員で当時30歳の片山祐輔という一人の青年であった。書では、事件発生からの全過程を克明に記録し、事件の中からあぶり出された課題を、今あらためて検証しようと試みている。 書のスタンスが特徴的なのは、この事件当にこれほど騒がれるようなものであったのかという点から出発しているところだ。結局一連の殺害・

    『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた - HONZ
  • 『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』コンピューターによる文芸批評の時代 - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 西野智紀は24歳の若きレビュアーだ。産経新聞、週刊読書人などで執筆をしつつ、将来的には書評家一でやっていきたいという夢を持っている。デビュー書評がいきなりカブるという悲劇に見舞われたが、これが吉とでるのか、凶とでるのか。今後の彼の活躍に、どうぞご期待ください! (HONZ編集部) 売れる小説を書きたい――作家を志す人ならば、一度は妄想する夢だろう。印税収入だけで暮らしていけたら、人生どんなに楽なことか。しかし、当然のごとく世の中は残酷で、運よくデビューできても、ロクにヒットも出せぬまま消えていくケースなどいくらでも存在する。ましてや今や出版不況、売れない文芸作家に対する風当たりは一段と厳しい。 そうした非情な現実の嵐に懊悩するあなたの耳元で、書はささやく。実はベストセラー作品には、黄金の法則があるのですよ。しかもこれは評論家や批評家の主観的評

    『ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム』コンピューターによる文芸批評の時代 - HONZ
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    三十路も四十路もまだまだ幼児?『魔女は三百路から』 2018年11月18日 唐突なんですけど、皆さんは「魔女」の存在を信じますか? そう、あの魔女です。御伽話や物語、もちろんマンガの世界でも何度も見かけるあの魔女です。 くしゃくしゃの顔で先端が折れた三角の頭巾とローブを身...

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