名画「モナ・リザ」に向けて赤色のスプレーを噴射する――。今から49年前、米津知子さん(74)はそんな行為をしてメディアからの非難を浴びた。噴射は、障害者を排除しようとする社会への抗議の行動だった。女性差別と障害者差別。二つの差別の間で引き裂かれた半生から見えたものは。 49年前の「抗議」行動 排除への怒りだった ――1974年、東京国立博物館で開かれた展覧会で「モナ・リザ」の保護ガラスに向けて赤いスプレーを噴射したとき、25歳でしたね。逮捕され、軽犯罪法違反として、科料3千円の判決が確定しています。 「モナ・リザの件を語るのは私にとって今でもとてもハードルが高いことで、緊張します」 ――「モナ・リザ展」主催者である文化庁は、会場が混雑するからとして車いすの障害者やベビーカーの入場を事実上、禁じようとしました。スプレーはそれへの抗議だったのですね? 「そうです。障害者だけでなく子連れの母親な