広島を破った今年の日本シリーズで、最も評価を上げたソフトバンクの選手は甲斐拓也捕手だ。 第1戦で代走の切り札・上本崇司の二盗を阻み、第2戦では鈴木誠也、第3戦では田中広輔、第4戦では安部友裕、第6戦で田中、安部とすべて盗塁を刺した。レギュラーシーズンではリーグトップの95盗塁を記録した広島の足を、完全に封じ込めた。わずか2安打の野手がシリーズMVPに選ばれたこと自体が異例だった。 「投手が牽制だったりクイックを一生懸命やってくれた結果。自分の力だけではできないことなので、感謝したいです。広島が機動力を使ってくるのは予想していたので、準備はしていたんですが正直、不安が強かったです」 今季の盗塁阻止率.447は12球団トップ。パ・リーグファンには認知されていた甲斐キャノンは、見事に全国区になった。どこが優れているのか。2001年に.543など、リーグトップの盗塁阻止率を5度記録した谷繁元信氏は