トランプの人格や発言は耐えがたく、人としてとても許容できない。それでも私は「トランプ当選」を望む。その理由をお話ししよう。/文・エマニュエル・トッド(歴史人口学者) <この記事のポイント> ●今の米国は「分裂状態」と「良好な経済状態」という二つの矛盾した現実がぶつかり合っている ●高学歴エリートはリベラルであるはずなのに「自分より低学歴の大衆や労働者を嫌う左派」という語義矛盾の存在になり果てた ●米国の歴史を前に進めるにはまず民主党の側に“意識改革”が必要。そのための最良の方法が、バイデンを当選させないこと トッド氏トランプの再選が望ましい 「トランプ再選となれば、米国の民主主義も終わりだ!」といった言辞が繰り返されています。米国に限らず、エリート層が好む高級メディアほど、この論調です。トランプが、下品で馬鹿げた人物であることは言うまでもありません。私自身も、人として、とても許容できない。