2年ほど前に初めて日本の作家・一青妙さんに会った際、本当に変わった女性だと思った。その質問の細かさと言ったら、まるで重箱の隅をつつくようで納得するまでやめようとしない。とにかく探求心に満ちた人なのだ。その後、私はあまりのしつこさに耐え切れず、旅行に来たのか、それともフィールドワークに来たのか、なぜ台南にそこまで興味を持つのか、思わず聞いてしまった。 「旅行に関する本を書きたい」。彼女は私にそう答えた。何度かおしゃべりを繰り返していたら、いつの間にか私の檳榔(※1)(びんろう)店と家族の物語が彼女の著書『私の台南』に書かれていた。日本人が書いた台南観光の書籍だが、内容は一般的なガイドブックとは違い、そこに登場するスポットは一青さんが自ら赴き感じたところ、台南独特の人情味あふれた店舗を記録したものだった。 檳榔文化に興味津々の日本人檳榔店は私の父が立ち上げ、私が引き継いだ。開業から今日まで52