日本では、国内に風力市場が育たないまま、三菱重工業、日立製作所、日本製鋼所などの主要メーカーが大型風力発電機の開発・生産から軒並み撤退した。一方、デンマークのヴェスタスや独シーメンスはリスクを取った投資で着実に成長した。なぜ、日本勢は劣後することになったのか。「欧州に比べスタートラインで20年以上後れをとった」と話す、三菱重工出身で日本風力発電協会代表理事の加藤仁氏に聞いた。 加藤仁(かとう・じん)氏 日本風力発電協会代表理事。1977年に三菱重工業に入社。エネルギー・環境統括戦略室長、原動機事業本部副事業本部長兼風車事業部長などを経て、2014年にMHIヴェスタスのCo-CEO(共同最高経営責任者)に就任。17年に日本風力開発副会長、18年から現職。(写真:菊池一郎) 加藤仁氏(以下、加藤氏):今振り返れば、三菱重工業が風車で世界一になることもできたと思う。三菱重工は1980年代に風車事