北方領土をめぐる日ロ交渉で、安倍晋三首相がプーチン大統領に対し、1956年の日ソ共同宣言に沿って歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島が日本に引き渡された後でも、日米安保条約に基づいて米軍基地を島に置くことはないと伝えていたことが分かった。首相はプーチン氏の米軍基地への強い懸念を払拭(ふっしょく)し、2島の先行返還を軸に交渉を進めたい考えだ。米国とも具体的な協議に入る。 首相官邸幹部が明らかにした。日米安保条約と付随する日米地位協定は、米軍による日本の防衛義務を定め、米国は日本国内のどこにでも基地を置くことを求められると解されている。このためロシア側は、2島を引き渡した場合、島に米軍基地ができる可能性があるとして強い懸念を表明してきた。 プーチン氏側近のパトルシェフ安全保障会議書記は2016年11月、日ロ首脳会談を前に谷内正太郎・国家安全保障局長と会談した際、56年宣言を履行して2島を引