国税庁は8日、7月に就任した佐川宣寿(のぶひさ)長官の就任会見を開かないことを決め、記者クラブ側に伝えた。新長官の会見がないのは異例。佐川氏は長官に就く前の財務省理財局長時代、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で国会答弁に何度も立ち、事実確認や記録提出を拒んで「真相解明を阻んでいる」などと批判を浴びていた。 新長官は会見で抱負などを語るのが慣例。同庁広報によると少なくともここ十数年は就任から約2~3週間後に会見を開いていた。 佐川氏は7月5日付で長官に就任。記者クラブ側が会見を申し入れていたが、「調整が長引いている」として日程が決まらないままだった。同庁は会見しない理由を「諸般の事情」と説明しているが、森友問題の質問が集中することを避けようとしたとみられる。 同庁は8日、「伝統ある国税の職場で働くことを大変光栄に思う」などとする佐川長官の就任コメントを出した。