前回は、“法的にグレー”なスマートフォンアプリが少なくない現状について見た。この状況を脱するには、まずアプリ開発者やサービス提供者の意識を変えることが求められる。ただ、それだけでは不十分だ。法制度についても、併せて考え直していく必要がある。 利用者情報を扱う場面が増えるなど、環境が複雑化し、従来の法規制のアプローチだけでは対処が難しくなっている。プライバシーに関わる情報の活用を進めるには、欠かせない動きだろう。 スマートフォンによって携帯電話事業者中心の垂直統合モデルが崩れ、モバイルアプリの分野でパラダイムシフトが起こっている。このことが、プライバシー問題の注目度が高まる背景にもなっている。岡村弁護士は「パラダイムシフトは法規制の面でも進んでいる」と指摘する。垂直統合モデルが崩れたことで、これまで規制当局が携帯電話事業者を介して業界をコントロールしてきたやり方が通じなくなっているからだ。