近年、ソーシャルメディアの著しい発達により、真偽が明らかでない情報も容易かつ瞬時に拡散されるようになった。特に、国家や企業、個人の信用を失わせることを目的に故意に流されるディスインフォメーション(虚偽情報、disinformation)は、きわめて重大な問題をはらんでいる。そこで欧州委員会は、本年4月26日、まん延するディスインフォメーションの対策として、EU共通の実務規範を定めることなどを盛り込んだ政策文書「ネット上のディスインフォメーションに対する欧州の取り組み」を策定した。 深刻化するディスインフォメーション問題 現代の情報社会に生きるわれわれは、毎日大量の偽の情報にさらされていると言っても過言ではない。例えば、本年4月に発表された欧州連合(EU)の世論調査「ユーロバロメーター」によると、回答者の37%が毎日またはほぼ毎日、また31%が少なくとも週に1回の頻度で「フェイクニュース(偽