先日、ある外資系投資銀行の幹部(インド人)が、背任事件にからんでニューヨーク本社から解雇された。今どき驚く話でもないが、それを聞いた元同僚(日本人)が大喜びするのには驚いた。「ざまぁみろ」とか「年20億円ぐらいもらってたけど、ブタ箱じゃ使えないだろ」といった反応が、ハゲタカ投資銀行の社員から出てくるぐらい、あくどいビジネスをやっていたわけだ。 その元幹部がやっていたのは、日本の機関投資家から資金を借りて世界の不動産に投資するファンドだった。その資産を管理しているのは、名目的には日本法人(特別目的会社)だが、実はその株主(日本のペーパーカンパニー)に融資しているのはケイマン諸島にあるSPV(「ビークル」と尻上がりでよぶ)で、その資金はすべてニューヨーク本社が世界から集めてきた金だった。 この日本法人が上げた利益は、ケイマンのビークルへの支払利息と相殺されて税金はほとんど払わない。その利息