放送によって権利を侵害された人が,放送局に訂正放送を求めることができるかどうかが争われていた民事訴訟で,最高裁判所は11月25日,民事訴訟による訂正放送の請求はできないという初めての判断を示した。 この訴訟は,離婚をめぐるNHKの放送で,夫の一方的な言い分だけが放送され名誉を傷つけられたとして,埼玉県の女性(58歳)が訂正放送と損害賠償を求めていたもの。 NHKは96年6月,総合テレビの番組『生活ほっとモーニング』で「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」とのテーマで夫婦の離婚問題を放送した。この番組のなかで「結婚21年目に妻から突然離婚してほしいといわれた。離婚から4年を経過しても妻がなぜ突然離婚を要求したのか分からず,戸惑っている」という男性の話が紹介された。これに対して,この男性の前の妻である女性が,自分には取材せずに前の夫の言い分だけが一方的に取り上げられ,事実と異なる放送によ