知識や知性には段階がある。 誰も生まれたてで掛け算などできないのと同様、掛け算ができなければ高校の微分積分はできないだろうし、高校の微分積分ができなければ大学の解析学はできない。 少しずつステップアップすることによって、高度なものを「難しい」と感じることなく理解することができるようになっていく。 ところが、このステップに乗り遅れる者もいる。 脱落してしまった彼らは口々にこう叫ぶ。 「本当に頭の良い人は、誰にでもわかる言葉を使う」 「頭の悪い人に限って、知識を見せびらかそうとして難しい言葉を使う」 だが、そのすべてが誤りである。 「xとyが比例するとは、どういう関係?」 と聞かれて、もっとも簡潔に答えるなら、 「y=ax(aは定数)が成立するようなxとyの関係。」 と答えるのが一番「わかりやすく」、明示的である。 ただ、この際、中学校の数学レベルについてきていない者は「もっと具体的に」などと