「それって、アカBANモノじゃないっすか。大丈夫なんすか?」 と、学内のCRドメインを展開しながら後輩の後藤君は言った。レンズの接点照射モードを起ち上げ、学校から生徒向けに用意しているSNZのP2Pコンテンツにコンソールを合わせていた彼のカメラに対して、僕も同期作業を始めた。 自身のリブレットである衣服由来のプロジェクションカメラによって、眼前に疑似投影されたWALKBOX(なんでこんな使いにくいソフトを選んでるんだ?)のアイコンにレンズコンソールを合わせる。ぱちぱち、と二回瞬きして、去年友人たちと一緒にTWEEってまとめた「法哲学概論」のレジュメを、学内既定である5分以内のバッファシーリングとしてアップしながら、僕は応えた。 「やっぱそう思う?」 「いやー、よく無事でしたよね。あそこのSNZってディスクロージャーのくせに実名前提でしょ? 確か、戸籍由来の実IDの提示まで求められるって」